病名がつくということ：発達障害

2014-11-29

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これの続きです。
◆病名がつくということ

続きものにすると続きを書かないということがよーくわかったので、読んでいただく方には迷惑となる長さとなっても一気に書いてしまいます。まとめきれなくて話があっちに行ったりこっちに行ったりするかとは思いますが、ご容赦ください。

みなさんご存知のように（知らんか）私には家庭保育園に手を出してしまったという消してしまいたい暗い過去があります。でもそのおかげで抱っこ法と桶谷式を知ることが出来ました。それぞれから得られたものについてはリクエストがあれば機会を改めて。

何か、ではなくて、誰からか、私が桶谷式にのめりこめたのは指導してくださった稲田先生のおかげです。ほかの方の指導を受けたわけではないので比較はできませんが、私は桶谷式ではなくて言うなれば稲田先生メソッドに導かれたのです。

稲田先生は桶谷式の限界に気づかれました、なので桶谷式以外のもので赤ちゃんをどうにかしなくては、ということに目を向けられたのです。そのためにわざわざ尾道から神戸まで腕利きのセンセを週に一度招いていらっしゃったのです。施されたのは鍼灸と整体。まー、ミラクルでしたね。このあたり、なんぼでも字数をかせいでしまうのでさっさと切り上げます。

この時が東洋医学なるものとのファーストコンタクトでした。なにより納得したのは、病名ではなくて症状、臓器の状態を診るということ。

多動の子がいます、肝のテンションあがってます、なので肝を鎮めるという処置が施されます、落ち着きます。おかあさんが尋ねられるのです、なんでこの子はこうなってしまったんでしょう、と。センセは答えます、知らんがな、あんたの生活２４時間みてるわけやないし、肝がいきっとるからそれ抑えただけや、と。

原因というか、因果関係がはっきりしているものについては原因を取り除くように注意されます。

病名ではなくて臓器がどうなっているのかが大切、とがっつりインプットされました。メンタルの症状は、その症状が対応している臓器に処置を施すことで治まるのです。

さて、いまやパンデミックなみの大流行である発達障害です。猫も杓子も発達障害です。なんか増えすぎです。コネクトロンにも日に１人は来られます（ほんまですよ！！

つい先日、諸悪の根源ともいえるＤＳＭに改訂が施されました。障害って言葉はなるべく使わないで、なんとか症ってのにしよう、ってものです。なので発達障害という言葉もそのうち使われなくなることでしょう。痴呆が認知障害になったように、トルコ風呂がソープランドになったように（違。

発達障害ってすごい言葉ですよねー。いったいどんな障害があるんだ、って怖くないですか。

障害：disorder

フツーじゃない、ってことです。じゃあ、フツーってなんなのよ、ですよね。

ゴハンを食べます、左手にお茶碗もって右手にお箸もって。これがフツーです。手にケガをしてお茶碗やお箸を持てなくなりました、誰かに手伝ってもらわないとゴハン食べられなくなりました、障害です。フツーじゃないです。自分ひとりでできません、誰かの手助けが必要です。

フツーじゃないのが障害です。

じゃあ発達障害ってなんなのよ？

参考エントリー：私って発達障害なの？

フツーに発達してないこと、発達してたらフツーに出来ることが出来てないこと、ですかね。しかし、ここんとこの発達障害（特に自称）ってイコールコミュニケーション不全を差していることが殆どのように思われます。他者とうまくコミュニケーションできないこと＝発達障害となってしまっているような。

コミュ障ってかなり一般的な言葉になってしまった感がありますが、そのうちコミュ障にたいしても、発達障害だ、って言われちゃいそうな勢いです。

コミュ障だと、人づきあいにちょっと苦労する人、というレベルですが、発達障害という「病名」がついてしまうと、治療されてしまいます、治療というか医療処置ですけど。

医療処置を施されて治ったらいいですけど。

メンタルの病気についてずーっと納得できないのが、診断の際に頭の中ひらいて見てるわけじゃない、ってことと、その症状を引き起こした問題の改善については手つかずであることが多い、ってことなんですよね。

前者については、前出のＤＳＭが診断の基準とされていることに問題がよく指摘されます。それは製薬会社の利権がらみだったりとかね。後者については、カウン
セリングとかセラピーというものが対応すべき部分で、待ち時間３時間診察５分投薬だけ、という心療内科の診察ではとても賄えないとこです。根っ子を解決せずにお薬だけ渡したって、頭痛をおさめる頭痛薬ほどの効果も期待できませんよ。だってメンタルのお薬ってぼーっとさせるだけなんだもの、と言っては言いすぎですか、そうですか。

再度、登場です。

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病名がつくと安心できますよね、それは治療方針がはっきりするからです。治療法が確立されていれば、の話ですが。

私って発達障害だったんだ、じゃああんなことやこんなことがあったのは仕方がなかったんだ。

そう、この「仕方がなかったんだ」と納得させるのに病名というのはたいへんに有功です。それは自分だけでなく、他者に対しても。

ちょっと受け入れ難い行動パターンの方にも、発達障害だから仕方ないよね、となれます。

じゃあ、発達障害って診断されなかったらどうなるの？なんです。

周囲と足並みそろえることが出来ない、困った言動の人、と眉をひそめられます、排除されます。病名がつくかつかないかは、排除されるか、病気だからしゃーないわ、と認めてもらえるかどうかの境い目のようではないですか。

病気だから仕方がない、と本人にも周囲にもあきらめさせるためのものですよ、病名がつく、って。

もっかい書きますけど、ということは病名がつかない限り、ちょっと変わった言動の持ち主というのは排除される、受け入れてもらえない困った存在なのですよ。

フツーの社会では許容できない存在、じゃあ医療機関に委ねてしまえ、です。

明らかにケガをしていてお茶碗もお箸も持てない人には医療処置が必要です。でも、ちょっとしたサポートやフォローがあれば済むってレベルの「障害」の人、そういった人まで医療処置なしで生活できないようにさせてしまうのはまずいですよねー。怖いのはここですわ。

そしてもちろん大切なのは、なぜお茶碗やお箸が持てないようになってしまったのか、という原因に向きあうこと。割れたお茶碗や折れたお箸を使わされているかもしれません。そのせいで傷が絶えないのかもしれませんよ。たとえばですよ、たとえば。

発達障害の自称の方は、みなさんと言っていいほど他者とのコミュニケーションに問題を持たれています。人とうまく付き合うことが出来ない、という問題に「発達障害」というラベルを無闇に貼っていただきたくないのです。

もちろん、医療処置が必要な重篤な症状の方もいらっしゃることでしょう。でもコミュニケーションにおけるちょっとした行きづまりを、病気で済ませていただきたくないのですよ。これが鬱だったらまだ原因がはっきりわかります。ほぼキャパオーバーで身体が悲鳴をあげてる状態ですよね。なのでお薬の力を借りるのもヤムなし、なんですが、「自称」発達障害の場合、私って病気だから仕方ないのよ、という文脈で病名が使われていることが多いのですよ。

生き辛さや、多数派に迎合できないお悩み、出る杭は打たれる、になってしまうこと、いつの時代にもあったはずです。それがこうも最近になって多くなってしまったのは、それだけ社会の許容度が減ってしまったからではないでしょうか。そして人よりちょっとキャパの少ない人が真っ先に対応できなくなってしまって、そのことで自分を責め、また周囲からも責められている、という状態。

まずは適応できていないことへの罪悪感をとっぱらっていただくこと。あなたがダメだからではない、と納得していただくこと。

そして、自称発達障害の方にたいへん、たいっへん多い症状がこれです。
参考エントリー：私ってアホなの？

病名をつけてしまう前に、いまお困りの症状、現象、どのようなものがあるかお聞かせください。病名に逃げずに済む手だてを提供できる可能性、ゼロではありません。