一病息災

2015-08-06

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たとえばですね、許せるようになった人がいまだ許せない人に対して許しなさい、って言うのっていわばマリー・アントワネットの「パンがなけりゃお菓子を食べたらいいじゃないの」と近しい傲慢さがあると思ってしまう私を許してください（え？許せない？？）。

そ、その傲慢さに上から目線テイストを感じてイライラするのですよ。あんたらはいいな！さっさと許すことができてね！自分に許せなかった時代があったこと、すっかり忘れちまってるだろ！！

あー、似たようなこと思い出した。

誰もが周囲にひとりはネットワークビジネスやってる人が居るかと思うんですけど、勧誘がイヤじゃないですか。モノはよくてもビジネスに引っ張り込もうとするのってイヤじゃないですか。そういう勧誘をされるのがイヤだっての、自分がビジネス始めると忘れちゃうんですよね。こういうの、喉元すぎればってことかな。

人はかくも、自分が弱かった時、ダメだった時を亡き者にしたいのですよねー。え？私に許せなかった時代があったですって？いったいあなたいつまで許せないってとこでグズグズしてんのよ、早く許せるステージにあがってらっしゃい、ってカンジですよねー。

人が自分の傷にフタをしちゃうのは、もちろん痛みを感じたくないからですが、大切な自分（ここ、重要！）が不本意な扱いを受けてたってことに耐えられないようです。私はちゃんと大切に扱ってもらえてた。私が粗末に扱われてたなんてありえない。

この感情、もんのすごい強力です。ヨシヨシがスムーズにできないのって、不本意な思いをしていたことを認めるのが耐えられないって思ってらっしゃるケースがすごい多いですね。んで、穴ぼこに気づいていただけてヨシヨシもしていただけて、さ、これまでの分も幸せになるぞ！って一歩を踏出していただけるのですが、ぶち当たられるのがですね、二歩進んで一歩さがる、ってとこなんですね。

進めるようになったからこそか、停滞や後戻りへの抵抗がものすごい強い。反動というかリバウンドというか。

えー、私ってば許せるようになったはずじゃん！なんでまたここで怒りを感じちゃうのよ、イヤな目にあっちゃうのよ！となってしまわれることが多々なんですが。

焦るな、焦るな、落ち着け、モチツケ。

何十年もずーっと進めなかったちっちゃいちゃんが、ようやく自分の足で歩けるようになったのですよ。これまでの分を取り戻すために急いで行きたいのはわかりますけど、足の筋力がついていけてませんやん。

私の足は１００メートルを全力疾走できるほどの力はまだないんだ、と認めてください。走る力がない人に無理のないような進み方をしてください。

まずは。

筋力がついたら、いくらでも力いっぱい走ってくださって大丈夫です。たとえ途中でこけたって、くっそー！とすぐに立ち上がってまた走り続けることが出来ることでしょう。

こけてもまだ１人で立ち上がれないうちは、自分はまだ弱いんだ、って思ってください。いわば一病息災ですよ。

自分のこと病気だって思うのはイヤかもしれませんが、バリバリ健康体だぜ！って早くガッツポーズしたいかもしれませんが。

穴ぼこに気づけるまでの何十年間を無きものにしないでください。耐え忍んでいたちっちゃいちゃん、一緒に居させてあげてください。忘れた頃に「辛かったよ」と声をあげたなら、「辛かったよね」と受けとめてあげてください。

「辛い」を感じる部分も、あなたの大切なパートです。そのパートを無きものにしようとするのがいわゆる乖離ですよー。

易にも一病息災的な意味のあるものがあります。

雷知豫の５爻
貞疾恒不死（ていしつつねにしせず。）
うまくいかないことが却ってプラスになる、ってことです。