ツバメはなぜいい人と悪い人の見分けがつくのか

夏休みのお楽しみ、それはNHKラジオ第1放送の夏休み子ども科学電話相談です。

物事を説明するには子どもにもわかるように説明しろ、って言われますけど、各界の第1人者の先生方が幼稚園児などにいかに納得してもらえるように解説するか、ってその格闘ぶりがおもしろいんですよっ。
参考エントリー:高校2年生にNLPを説明したらこうなった

さて、こんなお題がありました、何歳の子からの質問だったかは失念してしまいましたが「ツバメが巣をつくるのはいい人のオウチだと聞きました、ツバメはいい人と悪い人の見分けがつくのですか?」と。この質問を聞いた途端、わかる、わかる!ってツイートしたんですよね、そしたら

※今日のブログで書く、と言いながらもう何日たっていることやら

はい、では頑張って小学校低学年の子にもわかるように書いてみましょう。

A子ちゃんのオウチのまわりにはいつもどんな鳥がいるかな

スズメ、カラス、ハト、うん、いつも見かける鳥だね、じゃあツバメはどうかな、いつも居るかな?

いないよねー、ツバメを見ることが出来るのはだいたい4月から7月の間だけなんだよ

なんでかというと、スズメやカラスやハトは1年中日本にいるけど、ツバメは4月から7月の間しか日本に居ないからなんだ

こんなふうに1年の限られた間だけ日本にいる鳥のことを「渡り鳥」っていうんだよ

日本に居ない時はどこに居るか、日本が暑い時には涼しい国にいって、日本が寒い時には暖かい国にいるんだよ

ツバメはすごくたくさんの距離を飛んでいろんな国に行ってるんだよ

このいろんな国を行ったり来たりするってことを「渡り」というんだ

そしてツバメが日本に来るのは、卵を産むためなんだよ

卵を産んでその卵がかえっって雛が生まれて、その雛が飛べるようになるまで日本にいるんだよ

それが4月から7月の間なんだな

この短い時間で雛を渡りができるように育て上げないといけないからおとうさんとおかあさんは大変だ

飛べるようになれない雛は置いていかれちゃうんだよ

A子ちゃんはスズメやカラスやハトやツバメ以外にはどんな鳥を知ってるかな

白鳥、アヒル、フクロウ、ペンギン、うん、いろいろ知ってるね

そんな鳥っていつもどこに居るかな?動物園?(笑)

うん、たしかに動物園にいるよね、動物園じゃなくて自然の中だったらどこにいるだろ

どこに行ったら白鳥やフクロウを見ることができるかな

うん、山の中とかちょっと離れたところに行かないといけないよね

つまり、人がいないところだよね

これがスズメたちとフクロウたちの一番違うとこなんだよ

スズメたちはわざわざ人間の近くに住んでるんだよ

今度、山に行くことがあったら気をつけて見てごらん、スズメやカラスなんて居ないから

なんでスズメが人間の近くで暮らしているかというと、スズメは人間が出したゴミをエサにしてるからなんだ

A子ちゃんの近所、ゴミを集める日は何曜日だか知ってるかな?

火曜と金曜?いつもゴミは誰が出してるの?おとうさんが会社行くときに持たされてる?

今度お手伝いしてA子ちゃんもゴミを出しにいってごらん

ゴミを集める場所にスズメやカラスやハトがいっぱいいるから

みんないつどこに行けば食べるものがあるかよくわかっているんだよ

長い年月をかけて、スズメたちは人間のそばにいれば食べるに困らない、って学習したんだよ

A子ちゃん、ツバメは何を食べるか知ってる?

うん、そう、虫だ、ツバメが飛び回ってるのは雛のエサにする虫を探してるからなんだよ

虫を食べるんだったらスズメみたいに人間の近くに済まなくてもいいじゃないか、って?

いいところに気がついたね、そう、ツバメが人間の近くに巣を作るのはエサのためじゃなくて

猫やカラスやヘビなんかの敵から身を守るためなんだよ

ツバメがせっかく産んだ卵やかえった雛を狙ってる生き物がいっぱいいるんだ

人間がいつもウロウロしているところに巣を作れば、そういった敵は攻撃しにくくなる

人間はツバメにとってはガードマンなんだよ

だからツバメは人の家の軒先とかに巣を作るんだ

A子ちゃんのオウチにツバメは巣を作ってるかな?作ってない?

フンで汚されるっておかあさんが嫌がるから巣を作りそうなとこに網張ってる?

まぁそれも仕方ないよね

ツバメは自分たちを守るために人間の家に巣を作る

その人間がツバメを攻撃したらどうなるかな?

そんな危ない所にわざわざ巣を作らないよね

この家は安全だ、と安心できているから巣を作るんだよ

この家の人は意地悪しない、優しいんだ、ってわかってるから巣を作るんだよ

せっかく作った巣をフンで汚されるからって落としちゃう人も居るくらいだからね

この家は大丈夫だ、とわかったら次の年もそこに巣を作るんだよ

だから来ているツバメはいつも同じなはずだ、憶えてるんだよ、安全な場所を

同じツバメが何年続けて来ているかわからないけど、

ということはそのツバメは何年も生きてるってことだよね

A子ちゃんも大きくなるにつれて小さい時には知らなかったこと、

わからなかったことがわかるようになっていくよね

何年も生きて初めてわかることってあるよね

鳥たちにとって環境はどんどん生きにくいものになってます

つまり、長生きできないんだよ

ほんとだったら3年も5年も生きるはずの鳥が冬をすごせないことも多い

するとせっかく学習したことを自分の子どもに伝えてあげられないんだよね

どの家が安全か、とか、ここに行けばエサがいっぱいあるよ、というようなことだ

そういう役に立つ情報を親や先輩から教えてもらえなかったら

またイチから情報を得るために危ない目に合わないといけないんだよ

ツバメが毎年やってきてくれるってすごいことなんだよ

あんな小さな身体でものすごい遠い距離を飛んでくる

そして、この家の人は信頼できる、ってまた巣を作ってくれるんだ

ツバメが巣を作ってくれるってことは信頼されてるってことなんだよ

つまり、この家の人はいい人だ、って認めてもらえてるってことだ

ツバメは一目見ただけでいい人だ、ってわかるんじゃなくて

危険を乗りこえて時間をかけて、いい人だ、って認めてくれてるんだよ

ツバメに来てほしくなった?うん、そうでしょ

ツバメに安心して来てもらえるように、網なんて張らなくていいように

おとうさんとおかあさんにお願いしてみてごらん

ツバメが巣を作っているオウチの人は優しいんだよ

ツバメが来てくれたら優しくなれるよ

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