親の愛の形：リフレーミング

2014-11-28

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少年は可愛がっていた子猫を、鳴き声がうるさいから、と捨てられてしまいました。おとうさんが家に居るときは酔い潰れた姿しか見た事がありませんでした。機嫌がいいときはお金をくれたけど、お金さえ渡しておけば、という姿勢のようにしか見えなくてちっとも嬉しくなかったです。

しかし、仕事場で事故死した父の作業着のポケットに自分の写真を見つけ、いかに自分が愛されていたかということに遅まきながら気づきました。

お金を与えることが父の愛だったのだ、お金を与えることでしか父は愛を伝えることができなかったのだ、その愛を受け取らなかったこと、それが父の愛の形であることに気づけなかったことが悔しかったです。

穴ぼこのことを欠落感なんて言っちゃうと身もフタもなくなってしまう感があってイヤなんですけど、つまり、欲しかったものを欲しかった時に欲しかった人から貰えなかった痛み、なんですよね。

そしてこれも大原則、望むものは望む姿でやってくるとは限りません。

少年はどんなものがおとうさんから欲しかったのでしょう。一緒に遊んでくれること、猫を一緒に可愛がってくれること、酔い潰れているのではなくて向きあってくれること。いずれも手にすることは出来ませんでした、おとうさんがくれたのはお金だけ。少年には欠落感：穴ぼこがありました。その穴ぼこは、自分が大人になって親になることによって埋めることが出来ました。自分が欲しかったものを自分の子どもに与えることが出来たのです。

お金は大切です。自分の大切なものを大切な人に与えるというのは愛でしかないでしょう。ああ、私もそんなわかりやすい形の愛ならいくらでも受け取りますよっ！！

でも、少年にとっては欲しいものではなかったのです、嬉しくなかったのです。少年はさびしかったです、その寂しさに対し、「おとうさんはお金という形で愛をくれているのよ」と言うのが「言い聞かせ」です。だから寂しいのは我慢しなさい、と。幼い頃の少年に、おとうさんがお金をくれるのは愛情表現なのだ、とわかっていたならどうでしょうか。少年は自分で自分を言い聞かせることでしょう、ほんとは一緒に遊んで欲しいけど、おとうさんはお金という形で僕を愛してくれてるんだからそれで満足しなくては、我慢しなくては、と。言い聞かせを受け入れてしまったなら、少年にはおとうさんと一緒に遊びたかった、という穴ぼこが出来たことでしょう。

ま、どっちにしても一緒に遊んで欲しかった、ってのが穴ぼこなんですけどね。

お金でしか愛情表現するしかなかったおとうさんの気持ちもわかってあげないさいよ、という言い方を私がすることはありません。いえ、あります（どっちやねん。

それはねー、リフレーミングなんですよ。

親からまったく何も与えて貰えなかった、愛されてなかった、ということを欠落感とされてる方はたいへん多いです。愛されたかったよね、こうして欲しかったよね、とちっちゃいちゃんに語りかけることがヨシヨシです。お金は貰えてたけど、一緒に遊んでもらえなくて寂しかったよね、と。

で。

このお金と同じように、私から見たら、それどうひっくりかえっても愛だよね、というものが見えることがあります。私からしたら愛以外の何物にも見えないのですが、ご本人にはそう思えないんですよね。これを口で言ってもダメです、身体にわからせなくては（違）。単なる言い聞かせにしないためには、まずは穴ぼこを認めることが必要なんですよね。穴ぼこを認めた上だったら、言い聞かせは有功となるのです、リフレーミングとして。

お金さえ渡しておけばいいと思っていた、が、お金は実は愛情表現だった、となるのです。そして、自分の愛情表現を受け入れてもらえたおとうさんは、子どもの望む形での愛を与えることが出来るようになるのです。

親子に限らず、欲しいものとあげたいものの姿が異なっているってコミュニケーションギャップ、多いですよねー。ほんと歯車がかみあわなくて、永遠のすれ違いをなさってる方もね。

あげるほうにですね、せっかくあげたのに、って感情が伴ったならそれは関係の見直しが必要ですよ。もらうほうにとっては、せっかく貰ったんだから、って感情ですね。

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