初出(2017/06)時は5本だったものを1本にまとめました。シワブラ案件です。
シワブラその1
この2ヶ月ばかり、ずーっと悩んでいたことがありまして、かなりの長文、書いては消しを何度も繰り返していました。それが目出度く結論っぽいとこに到達しました。私ひとりの身に起きたことではないので、多くの方と共有できるものがあると思い、ブログにアップさせていただきます。
某所に新しい働き手がやってきました。40代後半女性、専業主婦歴20年以上。仮にAさんとしましょう。Aさんはサービス業の職場の初出勤時に、長い髪もまとめず、アイロンのかかっていないシワシワのブラウスでやってきたのです。ブラウスの袖口カフスはたいへん長く、手の甲がすっぽり隠れていました。
それを見た私の衝撃、わかっていただけますでしょうか。ぶっちゃけ、不潔感しかありませんでした。
髪まとめてください、とお願いしました。
アイロンかけてきてください、とお願いしました。
カフスは折曲げてください、とお願いしました。
こんなブラウスなんです、とのこと。
手の甲が隠れたままで初日は過ごされました。
2回目の出勤時、ブラウスは相変わらずでした。
シワシワのままでした。
ネクタイをしても襟元がシャキッとしない、と鏡を見て悪戦苦闘されています。
アイロンかかってないからですよ、と言いました。
かけたんですけどねー。
人によってアイロンがかかっている状態の認識がかなり異なるようです。
まー、私もアイロンそんなに上手なほうではないですが、クリーニングに出したシャツの方と並ぶとかなり見劣りしますので、できるだけ丁寧にアイロンかけるようになりました。
で。
Aさんは結局、2週間そのままだったのです。シワシワの、甲の隠れるブラウスだったのです。甲が覆われてると、お料理や食器運ぶとき運びにくいじゃないですか。カフスが料理に入りそうになるし。
誰も注意しないのか?誰というか、偉い人。
20年間専業主婦してるということは、アイロン業務もこなしているはず。自分の子供や夫のシャツにアイロンかけてるはず。それがなぜ自分の職場にはシワシワのブラウスで来るのか。
どうにも理解できませんで。この事実、どうリフレーミングすればいいのか、ずっと頭グルグルでした。
ブラウス以外にも気になることがチラホラ。感じることはみな同じのようですが、注意がされている気配がありません。上の人からは、文句があったら僕に言ってくれ、Aさんには直接いうな、と言われましたので上の人にくってかかりました。
ドレスコードっていったいどうなってますか?と。
なんと恐ろしいことに、上の人はAさんのシワシワブラウスが気になってなかったのですよ。言われてみればそうだなー、って。視界に入ってなかったのか、ほんとにそれでOKだと思っていたのか、それはわかりません。
うるさく言う私がおかしいのか?と思いましたが、シワシワはあかんやろ、という同意は他の方からもいただけましたが。
が。
誰も注意してないのですよ。
上の人は、僕から注意しておきます、と言ってくれました。たしかに言ってくれたようです。Aさんが私のもとにやってきました。
やっぱりこのブラウス、あかんらしいわ、と。
何があかんのかをわかっていらっしゃいません。
なんか怒られたー、って感じです。
次の出勤時には、新しいパリッとしたブラウスを着てこられてますけど、注意されたから仕方なく、なので、シワシワであったことも、カフスが長かったことも、それがなぜいけなかったのかをまったく認識していらっしゃらないのです。
これが中学生とか高校生ならまだしも、50に手が届きそうな大人が、なぜわからないのか。
頭グルグルが激しくなりました。
シワブラその2
あれは30代前半の頃、職場の同世代の同僚で宅急便の出し方がわからない、という人が居ました。出したことがない、というのです。ちょっと驚きましたが、知らないものはわからなくて当然。30何年間、たまたま宅急便を出すという機会がなかっただけなのだろう、と思いました。
宅急便の出し方を知らないことについて、彼女を責めようなどと微塵も思いませんでした(当然。
この考えをですね、なんとかシワシワブラウス事件に当てはめようと努力したのですよ。職場にシワシワブラウスはふさわしくないということを、Aさんは40何年間の人生で知る機会がなかったのだ。そして、ダメだと指摘されてもなぜそれがダメなのかを納得する思考回路を持つ機会がなかったのだ、と。
私自身、いい年になって知らないこと、なぜ何十年もそれを知る機会がなかったのか、ということに向き合わされることが多く、それは環境のなせるわざでしかなかったのだよ、と自己弁護できることがあったのですよ。
が。
どうにも納得できません。
ブログをなかなかまとめることが出来なかったのは、シワシワブラウス事件(長いのでシワブラ事件と以降略すことにします)について語ることがAさんを一方的にdisることになってはまずい、と思ったからです。が、汎用性のある結論にたどりつけたので、書くことにしたのです。
とは言いながら、Aさんを裁く的な表現がどうしても出てくること、ご容赦ください。
私がバイトを始めたときは、外に出て働くのが8年ぶりでした。初日で音をあげたのですよ!Aさんは20年ぶり、さぞかしお疲れだろうと声をかけたら、「PTAで動き回ってたから大丈夫です」と。
不安的中。Aさんが採用となって、私が何より恐れていたのはPTA的なものがもたらされることだったのですよ!!
チビの幼稚園から高校まで、私は文句たれながらも役員をすることが多かったのですが、PTAの何がイヤだったといって、ひとりで出来る仕事にわざわざ複数の手をかけることと(仲良しごっこのため)、会話が子供とダンナのことしかなかったこと、そして強制される仏壇菓子。そんな時間あったらさっさと帰りたいねん!といつも腹の中で思いながら実行できないのが情けないとこでした。
そんなにハードなPTAだったのかしら、そんなにPTAに打ち込んでいたのかしら。いわゆるPTAママさんであるなら、それだけで私の苦手な人種です。
主婦業はずっとされてるから、細かいとこに気はつくし、さぼるわけでもなし、仕事ぶりの一部だけ見てたら何の問題もないんですけど、なんか意思疎通がうまくいかないのです。伝わらないのです。
イライラがたまってきました。それは実にたやすく、顔を見るのもイヤ、という状態になってしまったのです。
自分でもこれはおかしい、と思いました。人の好き嫌いは激しいほうですが、こんなにも相手に対して嫌悪感を持ったのは初めてといってもよく、なにより不思議だったのは「イヤ」の根拠をはっきりさせられなかったことなのです。
いい年して職場でうまくやれないダメな自分、とダメポ沼にはまりこんでしまいました。でも、Aさんがイヤ、という気持ちはどうにも抑えることが出来ないのです。
シワブラその3
ある日、Aさんが「ねえ、ねえ」とやってきました、「怒られちゃった」と。怒られたけど、何で怒られたのかがわからない、と。怒ったのは怒るとこなど想像もつかない方、その方が「失礼だな!」と怒ったそうなのです。失礼な言動があったことは間違いありません。どのようなことかはわかりませんが。
いえ、わかります(どっちやねん。
それからちょっとして、私はまさに「失礼」の現場に遭遇したのです。Aさんが男性社員さんに物を頼んでいます。頼んでいる事柄も社員さんにお願いする筋合いのことではないし、頼み方、口の利き方がまさに失礼だったのです。ひやっとしました。この社員さんも温厚な方なので、その場で異議を唱えられることはなかったですが、その後「Aさんは無理」という発言がありました。
これは見かねたので、そんな口のききかたしたらあかん、とAさんにかなりきつく注意しました。
が。
はい、とは答えるものの、何がいけないのかはわかっていないようです。そう、すいません、とか、ごめんなさい、とは言わないのです。ボールを投げているのに受け取って貰えてない、それがまたイライラするのですね。
Aさんはフレンドリーと無礼の境界が非常に曖昧なのですよ。それがうまく作用すれば、愛想のいい人、となりますけど、そうでなければ相手の怒りを買うことになります。
そしてAさんは、やたらボディータッチが多いのです。他者との距離が非常に近い。それはお客様に対してもなので、やはりひやっとすることが多いのですし、触られて気持ちのいいものでもありません。
これは一体なんなのか。他者がすべて家族とでも思っているのか。だったら納得です。家族に気を使わないように、職場でも他者に気を使わないのです。
仕事でミスが多いとか、さぼるとかだったら注意しやすいのですけど、口のきき方がなってないとか、触ってくれるな、とか、フレンドリーすぎる、とか、注意できないのですよ。してもわかってもらえないし。
イライラは募る一方です。恥ずかしながら、かなり大人気ない(だいにんき、ではなく、おとなげ)態度をとってしまうようになりました。私がAさんを快く思ってないことはもう伝わっていることでしょう。隠す気もありません。
そのうち、他の方の意見も耳に入ってくるようになりました。逆撫でされる、イライラする、そして「生理的に無理」とみなさん口を揃えて言われるのです。
生物兵器か。
Aさんにイライラするのが私だけではない、とわかったら、糸が切れました。上の人に、どうにもできないのはわかるけど、なんせ聞いてください、とお願いしました。
私がしつこく訴えたのは、シワシワに対して何の注意もなかったことへの不満、シワシワの何が悪いのかがわかっていないことから始まって、何をやってはいけないのかがわかっていないことへの不信感。それは以前にも言ったのですけど、できる人ばかりではない、育てていくことも考えなくては、と丸め込まれたのですが、なんで私が育てなあかんねん!というのが魂の叫びですよっ。
これまではできる人ばかりだった、自分の意見が通る相手ばかりだった。それが、通じない相手がやってきたから、思い通りにならないことにイライラしているのではないか?と言われ、なんですかー、悪いのは私ですか?とかなりカチンときたのでした。
シワブラその4
上の人が言います、「Aさんてなんであんな上から目線なんや、ってみんなが言うんですよ」と。
ウエメセ?
そうか!と膝の皿を割りました。Aさんの言動が癇に触るのは上から目線だからか!優秀な穴ぼこ探知機、鎧センサーを持つ私がそれに気づかなかったとはなんたる失態。
常々スピの方にウエメセを感じていましたが、それは納得できたのですよ。
溺れる者は藁をも掴む(最終回)〜スピはボキャ貧
スピの方々は高次のものと繋がっていらっしゃいます。その高次からのメッセージをシモジモに伝えてくださるのですが、自分達のポジションは「高次」なんですよ。シモジモのところまで降りてきてはくれないのですよ。
まさに上から物を言っている。それにウエメセを感じてしまうわけですよねー。
しかしAさんはまったくの未経験者です。ウエメセ、ドヤの根拠となる過去のスキルがありません。それが無いのにウエメセとかドヤができるはずないだろう、と思っていたからAさんのウエメセに私は気づかなかったのでしょうね。っつか、Aさんの言動をウエメセ所以によるものだ、と思えなかったのでしょうね。
Aさんに関わるほとんどの人間に「生理的に無理」と思わせたものはウエメセでした。
はい、それは納得なのですが、なぜウエメセの根拠となるものを持っていないのにAさんはウエメセができるのか。生理的に、ということは理屈じゃない、ということです。
理屈はあるのです、ただ言語化できないだけなのです。
「直感」でごまかさないでね
言語化するために豊富な語彙は必須ですね。語る言葉を持たなければ、その言葉に象徴される概念は持てないのですよ。
なんのためにAさんはウエメセをしているのか、上の人がしてくれた説明、そこに使われていた言葉は私に馴染みの少ないものでした。自分でそれを使ったこと、あまりないと思います。
シワブラその5
不思議と縁のないものがありまして。好きとか嫌いとかのジャッジにも至らないという。ほんとに縁がないとしか言いようのないものが。音楽でいうならストーンローゼズとオアシスとコールドプレイ。これが私の3大縁のないバンドです。耳にしてないはずはないのですが、嫌いとも思わないというのはアンテナにひっかからないのでしょうねー。
縁のない漫画というか漫画家さんがいます。たとえば東村アキコ。1作も読んだことがありません。で、私が勝手に東村アキコと同一カテゴリーに放り込んでいる漫画家さんがいます。読んだこともないのにカテゴライズするなどおかしい話ですが、きっと読者層は同じだと思うのですよ。瀧波ユカリがそのひとり。で、瀧波ユカリが「マウント女子」という言葉を作った人だったのですね。
私はなぜか「マウント」という言葉に馴染みがなくて、マウントのなんたるかがイマイチフルイチわかってなかったのですよ。そうか、瀧波ユカリを読んでなかったからか、と納得しました。
卑屈と傲慢、そして上から目線、それは重々わかっているつもりでしたが、マウントはなんか違うようですね。
とある人がFacebook上でおいしいものを食べたリア充報告をしていました。それに対して、どこどこのなになにもおいしいですよ、というレスがついていて、そのことに対し、何マウントしてんだよ、という発言があり、これもマウントになるのか!と驚きました。これがマウントなら、私なんてどんだけマウントしてることか、恐ろしくなりました!!
人を堕として自分をあげる、でもなく、かといって自分をあげるわけでもなし、マウントってよくわかりませんでした。
上の人が言いました、「Aさんはマウントしてるんですよ」と。マウントが何かもよくわかっていないくせに、なるほどー!と膝の皿を割りました。
家の中で「おかあさん」という支配者の立場であり、いわばお山の大将。家族はおかあさんの命令に従順に従うだけ。
もちろん、支配者で特権階級でないおかあさんもいらっしゃるでしょうけれど、お山の大将という表現が実にしっくりきました。
そしてこれは上の人の慧眼ともいえる分析ですが、PTAってのはお山の大将の集まりだ、マウントし合いっこの場だ。そんなとこにずっといたら、そんなとこしか知らなかったら、マウントすることが当たり前になっている。Aさんにとってマウントってのはデフォルトなんだよ、と。
膝の皿を何枚あっても足りないくらいに割りました。自分がずっとPTAが嫌だった理由もわかりました。
ずっとお山の大将をやっているので、自分より格上の存在があるという認識がありません。なので目上の存在という概念がないのですよ。必然的に口の利き方がなってない、となるのです。
お山の大将ではありますが、天井天下唯我独尊なわけではありません。格付けには敏感なマウンターですから、自分より高いお山の大将であるとわかれば、態度はかわります。
自分より高いお山=権威
はい、マウンターは権威に弱いようですねー、Aさんしかり。Aさんは権威の前では実に豹変するのです。つまり、Aさんを「生理的に嫌」と思っている人(私も含む)はAさんからしたらミジンコなのですよ。権威がないので、気を使うべき存在ではないのです。
Aさんを「生理的に嫌」と感じた人は、Aさんからマウントされている、一方的にお山の大将の僕とされてしまっていることに嫌悪感を抱いたわけです。
今回のシワブラ事件で恐ろしかったのは、Aさんが頭の中に持っているものがこうもダダ漏れで多くの人を不快にさせたということです。いわばノンバーバルに醸し出されるものの的確さですが、ノンバーバルではありません(どっちやねん。
Aさんの使う言葉に、マウントしてる、自分より下に思ってる、というのは如実に表されていたのです。上の人がこんなことも注意した、あんなことも注意した、というのを聞いて、なるほど、そういう言葉使いをされたらそれはおかしいよ、とちゃんと注意すべきだったのだな、と知らされました。
それが、その言葉を投げかけられた際に反射的に発生した嫌悪感のために、冷静な対応ができなかったのですね(私も含め。
Aさんへの「生理的に嫌」の原因はわかりました。
では、主婦業を何十年もやってる人がどうしてアイロンのかかってないシワシワブラウスでやってきたのか。
つまりですね、Aさんにとって新しい職場は、わざわざブラウスにアイロンをかけてくるに値する場ではなかった、ということです。Aさんが大切にする権威を満たす場ではなかったということです。それを裏付けする発言がありました。
こうも露骨な格付けをすることがデフォルトになっている人に対して、そらー誰しもが「生理的に嫌」と思っても仕方ないでしょ。
そして、Aさんによって格付けをされたことで「生理的に嫌」を感じた人は、職場での自負や矜持があるということです。それを損なわれたことへのいわば怒りだったのですから。
まー、ベタな言葉でしめますと、「なめとんか!」ですよね。
いやー、いい勉強になりました。ダダ漏れの怖さ、これからは地山謙の精神でやっていきたいと思います。でも、自負と矜持は忘れずに。