あのねえ(なに?
人の気持ちってほんとミルフィーユみたいに多層になってて、表面の層の下にはどんなものがあるか、そうわかんないのですよ。
ああ、パイ皮の下は同じくパイ生地でしょ、ってそんな簡単なもんじゃないんだよ!(血の叫び
セッションのたび、感情ミルフィーユ(なに、それ)の複雑さ、繊細さにそれをすぐに気付けなかった己のボンクラさを猛省させられるのです。
では今日のミルフィーユ物件(違)のご紹介です。
50代女性コクーンさん(仮称)、お隣さんがちょっとしたことのお返しにと缶ビールのロング缶を2缶持ってこられたそうです。
大したことじゃないのにロング缶2本も申し訳ない、これからはこんなお気遣いなく、とわざわざ伝えに行かれたそうなのですが、ご自身のその対応がまずかったのではないかとたいそう気に病まれておりまして。
1缶なら良かったのか、350ml缶ならよかったのか、まさかビールのロング缶が1缶5000円ぐらいすると思っていらっしゃるのか。
ミルフィーユの皮を1枚ずつはぐっていって、最終的に出てきたビリーフはなんやと思います?
私は人より幸せになってはいけない
でした(なんや、それ!!
成功したら妬まれる、という恐れを持つ方は多いですが、幸せになったらあかん、ってねえ。
コクーンさんには、幸せになることのどんなデメリットがあったのか。
出てきた過去のエピソード、お兄さまが受験で合格した際、一緒に頑張っていた仲良しさんはあかんかったそうなのです。
仲良しさんは家族ぐるみのお付き合いのご近所、それはそれはいたたまれなかったそうです。
これが「人より幸せになってはいけない」につながるのか?ちょっと無理がありますね。
コクーンさんにはもうひとつ悩ましいことがありました。
娘さんの結婚が決まりました、めでたいです。それをお隣さんにどう報告するか、悩んでいらっしゃるのです。
過去にご近所でおめでたいことがあった時、別にわざわざ報告されなかった、ゴミ捨ての時などに顔合わせた時「ウチの子結婚してねえ」とかって軽い報告だった。
コクーンさんもそうすればいいじゃないですか。
そうですよねえ、でもねえ、とまだ奥歯に挟まっているものがあります。
お隣さんの娘さんは40歳をすぎてまだ独身なのだそうです。
だから言いにくいのだそうです。
うーん、わからなくもないけど、ヨソさまのオメデタを祝ってくれないような嫌なヤツなんですか、お隣さんは。
これも人より幸せになってはいけないの根拠としては弱いですよねえ。
もう一皮むきましょうか。
すごい失礼なこと思っちゃってて、とコクーンさん。
お隣さん、外壁がボロボロなんだそうです、コクーンさんちも含め周囲は同じ年月が経過していて何回もリフォームされてるのに、お隣さんは一度も手が加えられていなくてボロボロなんだそうです。
コクーンさんの中には
外壁ボロボロ=経済的に苦しい
という図式がインプットされてました。
そして!
おウチが楽じゃないのに、ロング缶2本も持ってこさせちゃって申し訳ない、となっていました。
ロング缶2本でキツいって、どんな家計を想像しとんや!!
みなさんご存知のように(知らんか)、反応しちゃうってことは、そこに傷があるからです。
いえ、ありません(どっちやねん。
傷に絆創膏貼っちゃって、傷があることなんて忘れてしまってるんですよ。
いえ、忘れていません(どっちry。
忘れようとしたことを忘れてしまっているのです。
傷があることはわかっているのです。
その傷にうっかり触ってしまうのです。
どんな傷?
経済的に大変だった、という生育過程での傷です。
経済的に大変だった、なんて書くと軽いですね、おウチの経済事情がコクーンさんをこれでもかと、辛抱や「どうせ私なんて」沼に沈め込んでいたのです。
コクーンさんの傷は、経済状況に反応します。
経済的に苦しい状況というものに触れたくないのです、見たくないのです。
ここからがコクーンさんのウルトラCです。
自分が幸せになったら、自分が経済的に豊かになったら、誰かより上になったら、そのせいで貧しい人が発生してしまう、貧しさで苦しむ人を見るのは嫌だ、じゃあ人より幸せにならなければいいのだ。
果たしてこの画像でわかっていただけるかどうか。
コクーンさんが幸せ選手権で順位を上げると、順位を下げる人が発生してしまいます。豊かさが目減りしてしまいます。
自分の幸せ度が上がることよりも、他社の幸せ度が下がることをコクーンさんは厭っていらっしゃるのですよ!!
ちょっと!豊かさって奪い合いじゃないんだ系の人、win-win教の人、コクーンさんに説教して!!
自分を犠牲にして差し出すまでされてないのは不幸中の幸いというか。
まとめます、自分が幸せになることで他の人が不幸になったら嫌だから、人が今より苦しんだり悩んだりすることになるのが嫌だから、自分は人より幸せになってはいけない、と思われているのです。
ビールのロング缶2缶がお隣さんを苦しめることになっているのでは?という罪悪感でコクーンさんの胸は張り裂けそうになっていたのです。
どうですか、このミルフィーユのわかりにくさときたら。
自分を傷つかせないようにすることへの執念(?)ときたら。
そうも傷ついていたのです。
貧しかったこと、貧しいがゆえに見下されてしまうこと、自分は下なのだと思ってしまうこと。
そこで人を妬んだり貶めたりするのではなく、自分が幸せにならないように、だなんて。
せつなすぎるやろ!!
ビールロング缶2本がコクーンさんに知らせてくれましたね、幸せになっていいんですよ、。
丶(・ω・`) ヨシヨシ