↓これの続き
4)お父さんはどこ?
なんて質問したんだっけなあ(おい。
確か、問題が解決したら何ができるか、
どうなれたら問題が解決したと思えるか、
だったと思うんですが。
意外なことに、ひさこさんのお答えは妹さんについて触れるものでした。
遅まきながら、ひさこさんちの家族構成です。
ひさこさんは4人きょうだいの次女でした。
お父さんは自営業の二代目、後継の男の子を待ち焦がれていらっしゃったそうなのです。
3人目の女の子であるひさこさんの妹さんが生まれた時、あからさまに「また女の子か」という態度をとられたそう。
後にそれを知った妹さんは、たいそう傷ついていらっしゃったそうなのですが。
が。
これを伺って私は両手をあげて「わかったー!」と叫びました。
お父さまが生まれた女の子にがっかりしたのは、妹さんが初めてではなかったことでしょう。
お姉さんの時も、ひさこさんの時も、お父さまは望んだ男の子ではなかったことにがっかりされていたのでしょう。
それは男の子を産めなかったお母さまが一番よくわかっていらっしゃったこと。
男の子を産めなかった負い目が、お母さまを献身的な妻にさせたのです。
お母さまの負い目が、娘たちに自己肯定感を育ませるはずもなく。
父、夫、家父長制のしばりに身をまかせることのみが、家における自身のレゾンデートルとなってしまったのです。
お父さまのがっかりはダダ漏れとなり、娘たちに女であることの肯定感を持たせなかった。
跡取り息子が欲しいということはですね、お父さまは○○家の長男という役割のみを背負っていらっしゃったということなのです。
お父さまは息子であって、父でも夫でもなかった。
だからひさこさんに、お父さまの印象が薄かったのです。
なんでお母さまがそうもお父さまに尽くすのかもわからなかった。
怖かったからかな?と記憶を捏造して。
切ない思い出を語ってくださいました。
ひさこさんが中学生くらいの時、家族で外食に行かれたそう。帰りの駐車場ではしゃぐまだ幼児の弟さんを、お父さまがそれは嬉しそうに後ろから抱っこされていた。
お父さんもこんな嬉しそうな顔するんだ、という感情がやってきたそう。それはつまり、ひさこさんや妹さんにはそんな顔を見せたことがなかったということ。
この光景をやけに覚えているということは、私は寂しかったし弟が羨ましかったのだと思う。
って。
続き、最終回はこちら
終)お父さんはどこ?