文化祭を明後日に控えた某高校、PTA役員が準備のために集っている。
吉川:おはよー、おそなってごめんな
鳥井:あ、あたしもいまさっき来たとこや
吉川:あれ、まだあんたしか来てへんの?
鳥井:それやがなー、水嶋さん、来られへんてさっき電話あったわ
吉川:えー、水嶋さん来ぃへんかったら車だしてもらわれへんやないの、
たこ焼きのガスボンベ取りに行かれへんやんっ
鳥井:せやろー
吉川:あの責任感の強い水嶋さんが来られへんってよほどのことやな、体調でも悪いんか?
鳥井:(声をひそめて)ビリーフが出たんやって
吉川:えっ、ビ、ビリーフ????
鳥井:しぃーっっ、声がでかいわ
吉川:ご、ごめん、ごめん、あの水嶋さんがビリーフやなんて驚きやわ
鳥井:せやろー
吉川:ワクチン、打ってなかったんやろか
鳥井:いや、ウチは大丈夫、てタカくくってはったらしいで、
ご主人は優しいし、子どもも賢いし、
うちはこのまま穏やかに過ごせていけたらええわ、て思ってはったらしいわ
吉川:ほんまその通りやなー、水嶋さんとこ、誰がみても羨ましいおうちやもんなぁ
鳥井:せやろー、でも聞いたらな、ほら、1年生に水嶋さんとこの下のお嬢ちゃんおるやん
吉川:ケイコちゃんやったかな
鳥井:そう、そのケイコちゃんや、ケイコちゃんがな、
「うち、もう学校やめる」て言い出したんやって
吉川:えー、ケイコちゃんて部活でもいつも目立っとる子やん、成績もええんやろ?
鳥井:そうや〜、そのケイコちゃんがな、
もうママの思う通りのええ子やっとるんはしんどいわ、て急に暴れだしたんやって
吉川:ひぇーっっっ、水嶋さん、そんな教育ママにも見えへんかったけどな、
いっつも家族のことばっか考えてはって、
自分のことは後回しにしてるええお母さんやんな
鳥井:それがな、ケイコちゃんからしたら、
ママは自分が家族のためにこんなにも犠牲になってるんやから、
あんたらはママの思う通りの子になってもらわな困るわ、って言うてるんと同じや、て、
私がなんか選ぼうとしても、ママはこっちがええと思うんやけど、て
結局いつもママの思う通りや、て不満やったらしいで
吉川:子どものために、て思うてやったことがみんな裏目に出てまうんやなー
鳥井:そこがビリーフの怖いとこや、本人はよかれと思ってやってるんやさかいな
吉川:水嶋さんとこにはどんなビリーフがあったん?
鳥井:おかあさんは家族に尽くさなあかん、
おかあさんが子どものためによかれと思ってることには従わなあかん、てビリーフやな
吉川:そんなん、どこのお母さんもみんな思てることやな
鳥井:そうや、誰がみても間違ってることやないから、余計にややこしいんやな
吉川:それの何があかんの?
鳥井:なんでそう思ってしまったか、ってとこが問題なんや
吉川:原因てことなん?
鳥井:そうやな、正しいことを間違った動機でやる、ていうんやけど、
子どものことを思うんは正しいことなんやけど、
そのきっかけになったことに問題があるとあかんのやな
吉川:ほなケイコちゃんにはどないしてあげたらええの?
鳥井:ケイコちゃんにしてあげられることなんかあらへん、
水嶋さんがなんで自分にそんなビリーフ植え付けてしまったんか、
その原因となるもんに気付いてくれはって、それはもう要らんのや、てわかってもらえたらしまいや
吉川:そんな簡単なことでええの??
鳥井:簡単やろー、ほんま簡単なことなんやで
吉川:ほな、さっさとそれしてもらって、水嶋さんに車だしてもらわな、
ボンベ取りに行かなたこ焼きの準備でけへんやん
鳥井:そうや、そうやった、私ビリーフ退治にええとこ知ってるからそれ水嶋さんに教えてあげるわ
吉川:どこやの、それ
鳥井:たしか元町やったと思うわ
吉川:もうどこでもええわ、はよ水嶋さんにそこ教えたって、
んで、ボンベとってきてもらって、作業が進まへんやないのっ
鳥井:わかった、わかった
吉川:子どもらが楽しみにしとるさかいな、たこ焼き、うちらが頑張らなあかんやないの
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ビリーフ退治、承ってオリます。
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